世界にはばたく、生命科学の未来を担う一流の研究者に
生命科学は、現代の科学の中でも最も急速に進展しつつある領域です。それは、まず人間を含む生物の営む生命活動を、分子、遺伝子のレベルで明らかにし、生命システムの成り立ち、環境との共存や進化の仕組みを解明するだけでなく、癌や難病など、生命をおびやかす様々な病気の機序を解明して人類の福祉に貢献する、きわめて重要な学問です。現在、加速的に解明されつつある生命活動の分子機構は、すぐさま医学的技術と結びついて人間の健康維持と疾病の克服のために、新薬や医療機器の開発に貢献しています。このように生命科学が21世紀の人類に与える影響は、はかり知れません。
本学の生命医科学研究所は、こうした背景のもとに、産学官の共同プロジェクトのための大学付置研究所として、1989年に開設されました。さらに1995年に大きな改組を行い、現代生命科学の中心となる免疫生物学と分子生物学、それに情報科学を加えて、より明確な目標を持った研究所として再出発しました。そして1997年に、この研究所に付属した独立大学院生命科学研究科生命科学専攻が開設され、次世代の生命科学を担う若者たちの本格的な教育が始まりました。現在までに多くの新進気鋭の研究者や高度な専門知識と技術をもった優れた技術者が社会に輩出されています。
本研究科の構成は、免疫生物学、分子生物学、生命情報科学、分子病態学、時間生物学、免疫実験動物学という各専攻分野から成り、従来の講座制にとらわれないダイナミックな共同研究を行っています。また、学内外の研究者との交流や、大学間のみならず、産学共同、国際協力をも含めた、多分野に渡る共同プロジェクトにも積極的に参加しています。研究所内に設置された遺伝子改変動物を自由に作りだすことができる動物実験施設や、ラジオアイソトープ実験施設、さらには最新の細胞分離分析装置(セルソーター)などを含む大型研究機器を配した共同利用機器室は、生命科学研究の国際的な研究拠点に相応しい設備として機能しています。
本研究所は、東京からほど近い、しかも恵まれた自然環境の中に位置し、自由で創造的な生命科学研究と教育の場として発展を続けています。このような研究環境の中で、本研究科の大学院生が、教員や若手のポストドク・研究員たちと共に切磋琢磨し、夢を語り合い、生命科学の未来を担う一流の研究者に成長して、世界にはばたくことを期待しています。