- 研究分野Research Area
- 数理生物学Mathematical Biology
- 研究テーマResearch theme
- 免疫からの攻撃を回避するがんの進化と免疫療法の数理モデル解析
- 肺がん投薬治療における薬剤耐性を回避する最適投薬戦略探索
- クローナル造血の数理モデル研究
- 腫瘍内不均一性がもたらす放射線照射耐性獲得機序の数理モデル解析
がんが正常細胞から発生する過程や薬剤耐性を獲得する過程をヒト体内での細胞の進化過程として捉え、確率モデルや微分方程式系を用いて解析を行っています。計測技術とコンピュータ技術の発展とともに、データに基づいた数理モデルで現象を捉えることが可能になってきています。日本人の2人に1人が発症すると言われるがんについて、数学やコンピュータシミュレーションを使った手法で本態を理解し予後を予測することを目指しています。

研究の流れ − 数理生物学ってどう研究するの?
研究の流れは、
1) 研究テーマ・目的の設定、
2) 数理モデルの構築、
3) シミュレーションコードの作成や数理解析、
4) データによるモデルパラメータの推定、
5) シミュレーションの実施、
6) 結果の解釈・現象への関連付け、
7) 論文書き
となります。シミュレーションの結果によって数理モデルやシミュレーションコードの修正に戻ります。
生物学・医学から数学・計算機科学まで多岐にわたる知識や技術を駆使して研究を実施しますので、統合的な視点からの研究を実施したい人に向いていると思います。全てを備えて研究を開始できる人はいませんので、大学院生活の間に足りない部分を勉強して一人前になっていってもらえるようにできるだけサポートします。
研究紹介
膵臓がんがある大きさで診断された時、転移が起こっている確率と転移細胞集団の数の期待値に関して、確率過程の1つである分枝過程の解析から理論式を導き、臨床データによるモデルパラメータの推定を行い、膵臓がん進展過程を明らかにしました (図:Haeno et al. Cell 2012; Yamamoto et al. Cancer Res 2017)。

そのほかにも、名古屋大学医学部脳神経外科との共同研究では、臨床データに基づいた数理モデル解析によって、低悪性度脳腫瘍の悪性化を抑えるのに最適な治療法を明らかにしました(Aoki et al. Cancer Res. 2021)。さらに、マイクロサテライト高不安定性大腸癌においてがんが免疫から逃れる機序を数理モデルで表しました (Kawazu et al. Gastroenterology 2021)。
- Research Category
- Division of Molecular Pathology
- Research theme
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